CONCEPT

コンセプト策定

マーケティング調査を行い、ターゲット設定をした。次はいよいよコンセプト策定(コンセプトメイキング)です。不動産物件の販促企画においては、「どんなコンセプトにするか」が一番重要だと、僕は思っています。

多くの団地やマンションなどは縦一列が全て同じ間取りです。ある人の家のリビングの上は上の階の人の家のリビングで、ある人の家のトイレの下は下の階の家のトイレになっています。建築会社が建物を建てやすいように、不動産会社が物件を売りやすいように、そんな売り手側の思惑に買い手側が合わせている、という側面があります。それは新築戸建も同じで、コストを抑えるために、あるいは売れ残りを回避するために、“一般的な間取り”に終始しがちです。

語弊を怖れずに言えば、日本人の住まい方は画一的です。もっと正確に言えば、不動産会社が日本人の住まい方を画一的にしているのです。そうなると、ユーザーは立地や価格、面積などのスペックだけで住まい選びをしなければならなくなってしまいます。
コンセプトとは何か、というと、ユーザーが「そこを選ぶ理由」となるものです。無機質なスペック情報だけではなく、「その街で、その家で、どんな暮らしができるのか」という「生き方に対する考え方」がコンセプトです。
100家族いれば、100通りのライフスタイルがあって、家族構成や趣味、持っている家具もまったく違う。不動産会社はここにフォーカスして物件づくりをすべきですし、広告会社もコンセプトを前面に打ち出した広告づくりをすべきだと、僕は思うのです。
ここで「万博公園ロウハウス」という物件の事例を紹介します。

CASE.万博公園ロウハウス

「吹田市山田東プロジェクト」という名称で全4戸の新築戸建(厳密にはタウンハウス)を販売。
販売開始から数ヶ月以上経過しても1戸も売れておらず、その時点で販促の相談をいただきました。
まずは現状の整理から。物件のメリット・デメリットを列挙し、どこに課題があるのかを探るところからはじめました。 物件のメリット ・価格が安い(周辺相場では4,000万円台のところ、新築戸建で2,780万円)
・スタイリッシュな建物外観、リビングの鉄骨スケルトン階段など、若いファミリーやディンクスに受けそうな物件企画
・徒歩11分の場所に、三井の大型複合施設(EXPO CITY)がオープン予定(現在はオープン済) 物件のデメリット ・土地が共有持分で軒がつながっている、いわゆるタウンハウス(※)
・周辺の道が狭く、車が1台ギリギリ通れるくらいの幅しかない
・駅から遠い(大阪モノレール「万博記念公園」駅徒歩18分)
※タウンハウス:2つ以上の住宅を1棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入口を有しているもの これまでの販売・販促における課題 ・立地や価格など、スペック売りの訴求しかできていなかった
・物件写真がイマイチで、いかにも連棟住宅に見える建物外観がメインだった
・開発の進む「万博公園」のポテンシャルを謳えていなかった
・「新築戸建」を前面に押し出していて、「タウンハウス」に引け目を感じていた
・道が狭いのがネックにも関わらず、駐車場を無理矢理確保した企画だった
・来場者は高齢の地元買替え顧客が多く、ターゲット層が呼べていない

上記の情報を整理した上で、解決策(販促のアイデア)を提示しました。 解決策 ・スペックに偏らない、明確なコンセプトを立てる
・モデルハウスの写真を撮影し、建物の魅力をストレートに伝える
・「山田東」ではなく「万博公園」(ただ、古い街並みの雰囲気は活かす)
・タウンハウスはタウンハウスとして、その良さを訴える
・レンタカーやカーシェアが一般化している今、車の所有を前提としない
・若々しいビジュアルを意識し、チラシなどの紙媒体ではなくネットで集客

そして、新物件名と新コンセプトもあわせて提案。 物件名:「万博公園ロウハウス」

ロウハウスとは、境界壁を共有する複数の戸建て住宅が連続している形式の低層集合住宅のこと。
各戸が土地に接してテラスを有し、団地の一部として建設されることが比較的多いです。
主にアメリカでの名称で、英語ではテラスハウス、タウンハウス、日本語では長屋と呼ばれます。
意味合い的には同じなのですが、言葉の響きで印象を変えました。 コンセプト:
あたらしくって、うつくしい。
“デザイナーズ町家”の暮らし。

新しい感性のデザイナーズ住宅と、古き良き日本が薫る町家の美しい佇まいの融合を表現しました。正反対のものをくっつけるというのは、コピーライティングの一つの手法です。

デメリットを隠そうとするのではなく、逆手に取って魅力に変える。それがうまくいった事例だと思います。
新物件名と新コンセプトに切り替え、それを各媒体に反映してから、来場数は格段に増加。短期間での完売につながりました。物件力や販売力ではなく、完全に販促企画の力で売れたと、クライアントにはたいへん喜んでもらえました。そしてまた、実際に住まいを購入したユーザーからの「いいものが安く買えたし、素敵な暮らしを送っています」という満足の声を伝え聞いています。

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